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2020.05.27
Oubaiの自己紹介
突然ですが、出店中に度々聞かれること等をまとめて
自己紹介をしたいと思います。
江戸~昭和頃の漆器を扱っていますOubaiと申します。
「なんで漆を専門にしたの?」とよく聞かれるので
まずは、漆に惹かれた理由からお話ししようと思います。
私は、前職古家具・和家具屋さんに勤めていました。
ちゃぶ台、水屋箪笥、欄間(らんま)など
仕入してきたものを、メンテナンスして販売するという仕事です。
ある時から、仕入に行くと、家具のみならず、
古布、茶道具、掛軸、屏風など、他のものも気になるようになりました。
そこで出会った、江戸期の古い蒔絵の小箱たち。
埃のかぶった漆黒のお箱に、微かに輝く蒔絵の花々や家紋の絵。
花々から「にょきにょき、ぐんぐん」と音や声が聞こえてくるようでした。
お気に入りの時計やアクセサリーを着けている時のような
強いエネルギーを感じました。
その美しさに深く感動して、何かスイッチが入ったように、
たちまち漆のことが気になり始めました。
それまで、漆に対して無頓着で、興味も知識もなかった私は
その出会いを契機に、漆の本を読み漁ることになりました。
戦後の漆器は、近代化とともに便利なプラスチック製品に取って代わり
今では100円均一に売っているものも漆(!)と書いてあります。
一方、木製の漆塗、蒔絵のものは、ほんの100年くらい前の明治・大正期まで
宴席やお花見や菓子の時間など、身近にいた存在でした。
職人の減少、金粉の高騰など、時代の流れとともに
変化していく漆のことがまた気になり
更に深く知りたくなりました。
写真上は、愛らしいお目目の雀と鳴子の絵が描かれた、大正期頃の蒔絵のお椀。
鳴子とは、防鳥用の音の鳴る道具。今では懐かしい、収穫の秋の趣です。
季節の移り変わりを慈しみ、元来あった、古き良き情景が描かれています。
写真下は、生き生きとした菊の絵が描かれた、明治大正期の蒔絵のお皿。
重陽の節句(陰暦9月9日)に、菊花を愛でて、菊酒を飲み
長寿を祝い、延命を祝う風習から、
長寿の祈りを込めた、文様・装飾として定着しました。
目に見えない祈りの意味、古き良き日本の面影。
そういった形骸化されたものを
知れば知るほどに伝えていきたいと思うようになりました。
古物との出会いから、どんどん気になりだした漆のこと。
蒔絵の絵のエネルギー、漆の歴史、文様・装飾の意味。
出会うたび、学ぶほど、知らない魅力がまだまだあることに気付かされます。
Oubaiは、漆と人の距離を縮めていけるような、
生活に取り込むようなきっかけになれたらいいなと思い活動しています。
出会った時と、使う中で生まれる喜び。そんな喜びが続きますように。